2023年初夏企画展/郭小明写真展「黒錆」BLACK RUST

230321郭小明写真展黒錆
©郭小明「黒錆」/BLACK RUST

2023年初夏の企画展は郭小明写真展「黒錆」BLACK RUSTを開催します。

郭さんは中国人写真家。今回展示する作品は在住地中国四川省の廃工場を撮影した白黒写真のシリーズになります。私が運営メンバーを担当しているgallery176で2023年3月に開催した写真展を三重でも開催致します。gallery176での写真展開催時に制作した案内葉書を見た方から「こんな写真好きだなあ。行きますよ」というような声をいただいています。中国の廃工場を近年撮影している白黒写真ですが来場者の方からは「日本の昭和の時代を思い起こすような感覚になりますね」などという言葉が聞こえてきました。(gallery039での案内葉書は3月23日現在制作中です。完成しましたら三重県内などで配布を致します)

今回展示する写真について郭小明さんにお聞きしたので記載致します。

郭さんが写真をはじめたきっかけについて:
私は1980年から本格的に写真の仕事を中国の都市建設施設で始めました。それまでは中学校の先生をしていました。父が版画芸術をしていたので、カメラを持っていました。父から影響を受けて、写真が好きになりました。学校を出てプロの写真家になりました。数年後に中国社会の経済的な変化があったので、私はいったん都市建設施設を離れ、商業撮影や空調の仕事をするようになりました。引退後、再び作品写真を撮るようになり、現在作品制作に集中しています。

撮影した場所について:
たまたま入った廃工場には誰もおらず、荒れていて恐ろしかったのですがカメラのシャッターを切りました。撮影後パソコンでその写真を見ているうちに「あれは滅多にないチャンスだな」と思ったんです。一人で廃棄する工場の建物に在る錆びている機械を見て、雨風が吹きさらしの窓を見つけました。その廃工場でかつて存在した人々、かつて存在した蒸気、かつて存在した喧噪を感じることができます。あのような静かな場所で、すべての物体に私の両目は1つ1つの事物に引きつけられながら毎回様々なことを感じさせてくれます。それは事物がとても個性的であるともいえるのでしょうが。時空を超えて旅をしているような気がして、一人旅、一人静かに、一人で写真を撮ることをとても楽しんでいます。撮影する度に新たな気づきを発見することが楽しみです。

最初の撮影はカラーで行いましたが、その写真は色があまりにも現実的でありすぎると感じ白黒写真での制作に切り替えました。構図とその中の視覚の輝点に干渉して、特に画面の中の情緒に影響します。白と黒を使い、さらに高コントラストでサビの質感を引き出せることから「黒サビ」と名付けました。

前後2年余りの撮影の中で、私が最も注目したのは三つのカテゴリーでした。一つは光と影の中での構成で、その中には線の変化、大きさの対比、質感の表現、形の衝突が含まれます。二つは建築体の構成で、その中には空間のパッチワーク、光と影と線のバランスが含まれます。三つはドアと窓の空間の中の独自性がありその中は魅力的に思える凹凸を含んでいます。

多くの初期の工業は日本から輸入してきたものも多く今回撮影をしている肥料工業もその一つです。また写真術も日本からたくさん入ってきました。私は日本でいろいろなところを旅行してきましたが、日本人と中国人とでは経験も感じ方も違うと思います。写真で日本の方々と交流するのは良いことです。

この写真は成都にある専門スタジオで製作されたもので、エプソンの大判プリンターを使用して、マット紙に出力をしています。

撮影にはソニーのデジタルカメラを使用しています。

以上のお話をしてくれました。

初夏を迎える三重県津市美里町の里山にある写真専門gallery0369に開催する写真展「黒錆」BLACK RUSTに是非足をお運び下さい。

※本展での作者在廊日はありません。

郭小明写真展「黒錆」BLACK RUST展覧会概要

タイトル:「黒錆」BLACK RUST
作家名:郭小明
会場:gallery0369
〒514−21113 三重県津市美里町三郷369番地(古い2階建てスレート倉庫の1階にギャラリーがあります)
会期:2023年5月19日(金)〜月21日(日)、5月26日(金)〜28日(日)
期間中5月22日(月)〜25日(木) は休廊日となります
開廊時間:13:00〜18:00
※お車でお越しの方は国道挟んだ向かい側にある劇場Théâtre de Belleville/〒5142113 三重県津市美里町三郷2104
の駐車場にお停め下さい。

展示概要:2023年初夏の企画展として中国、四川省、成都在住の郭小明さんの写真展を開催します。2020年コロナ禍の中でしたが郭さんとお会いする機会があり写真を通しながら写真展開催の為のやりとりを進めてきました。中国人として、またアジア人の一人として、海を越えた地に在住する一人の写真家が見つめた世界を白黒写真でご覧いただければと思います。写真展開催中に同名タイトルの写真集もご覧いただけます。

作品説明:長年放置されていた肥料工場を撮影した写真を「黒錆」BLACK RUSTというタイトルで展示致します。

展示構成:プリントサイズ35㎝×23㎝/額サイズ50㎝×50㎝の30点程度を展示

郭 小明プロフィール:

1980-1990 都市建設写真に携わる
1991-2003 コマーシャル広告撮影に従事
2004年~現在 フリーランスの写真家
中国写真家協会四川支部会員(1984年)
中国、四川省成都在住

展示企画:gallery0369 オーナー:松原豊

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